2020ドイツ年間ゲーム大賞受賞!「ザ・クルー 第9惑星の探索」を先行入手&レビュー!
こんにちは、雲呑堂です。
先日、8月16日(日)に浅草の東京都立産業貿易センターにて行われた
『ゲームマーケット出張版2020浅草』にお邪魔してきました。
新型コロナウイルスの影響で中止となった「ゲームマーケット春2020」の出張版という形で、事前チケット制・時間制限(45分)・事前の検温有という対策を実施したうえで行われたイベントでしたが、かなり人数が絞られていることもあり、じっくりと見て回ることが出来ました。
Twitterでも写真を上げた「ルート(Root) はるけき森の動物戦記」など、中々手に入らないボードゲームも買えて大満足でしたが、 日本での正式発売前に先行入手できたゲームがありますので、今日はこちらを紹介したいと思います。
そのゲームがこちら。
「ザ・クルー 第9惑星の探索」
2020ドイツ年間ゲーム大賞「エキスパート賞」受賞!全プレイヤーが協力してミッション達成を目指すカードゲーム。会話ができないというルールの中で、カードをどう出すか。クリアした時の達成感がクセになります!(株式会社ジーピー様ホームページより)
権威あるドイツ年間ゲーム大賞のうち、2020年の「エキスパート賞」という、比較的ボードゲームに慣れた方向けの賞を受賞しています。とはいえ、ルール自体はそこまで複雑なものではありませんから、構えなくても大丈夫。ちなみに日本語版の正式発売は、9月25日だそうです。
記事では、『ゲームマーケット出張版2020浅草』当日のブースの雰囲気なども交えながら、コンポーネントの紹介・ルール説明をしていきますので、日本語版を購入予定の方はぜひご一読ください!
制作:THOMAS SING
イラストレーション:Marco Armbruster
ゲームメカニクス:協力型トリックテイキング
プレイ人数:3人~5人
プレイ時間:20分
①ザ・クルー 購入時のお話
私が『ゲームマーケット出張版2020浅草』に参加したのは11時~11時45分の回でしたが、ブースの広さに対して、参加人数はかなり絞っていたように思います。どのブースでも商品を買う・説明を聞くのにそこまで時間がかかることはなく、かなりサクサクと目的の商品を買うことが出来ました。
今回紹介する「ザ・クルー 第9惑星の探索」を取り扱う株式会社ジーピー様のブースも例外ではなく、きちんとゲーム説明を聞いたうえで購入することが出来ました。
株式会社ジーピー様では、前回記事で紹介した「カタン」や、「ウボンゴ」等の取り扱いをしていますが、今回のブースは「カタン」の続編である「カタン 宇宙開拓者版」もかなり目立っており、宇宙色マシマシのSF空間になっていました。ちょっと面白い。
ちなみに、ザ・クルーの取り扱いはこんな感じです。ドイツ年間ゲーム大賞のブランドは伊達ではなく、かなり力を入れているように感じます。
そんなこんなで店員さんから簡単なインストを受けつつ、当日価格(2,000円!)で購入。興味を惹かれたのは、「協力型のトリックテイキングゲーム」という点です。最近は対戦系のゲームばかりやっていたので、協力系のゲームもたまには良いかなと。
当日は英語版のみの販売との事でしたが、日本語ルールブックがついており、それ以外は言語説明に頼らないゲームなので、買った当日に支障なく遊ぶことが出来ました。
前置きが長くなりましたが、以下ルール説明とゲーム概要です。
②ゲームの目的と特徴
このゲームの目的は、3~5人のプレイヤーが、協力しあって宇宙空間でのミッションを達成することです。ミッションはストーリー仕立てになっており、計50個ものミッションが説明書付属の「ログブック」に記載されています。
ゲームジャンルで言うと、上でも触れた「トリックテイキング」*1というジャンルに当たり、プレイヤー皆で4色の「プレイングカード」を出しあって、各自が受け持つ「ミッションカード」と同じ色・数字のカードを回収することで、協力しながらミッションを達成していきます。
さて、後ほど詳しく説明しますが、このゲームの特徴的な点は、「協力型ゲーム」でありながら、プレイヤー間において「自分の手札について話すことができない」点でしょう。このため、限られたヒントの中で、自分の出すべきカードを探らなければなりません。プレイヤー間における無言の意図伝達の難しさ、これはゲーム性を高めると同時に、宇宙空間における「通信の難しさ」を感じる良いスパイスになっています。
お互いヒントを出しながらカードを出していく、という点では、「ボードゲームアリーナ」の記事でも紹介した「花火」ともイメージが近いかもしれません。
それでは、ゲームのルールを見ていきましょう。
③ゲームの準備
まず、「ログブック」から進行するミッションを選びましょう。
下の写真はログブックの一例ですが、例としてミッション15では、4つのミッションカードを、1~4の順番を崩さずに取っていくことが求められます。
取り組むミッションを決めたら、計40枚のプレイングカード全てを各プレイヤーに全て配布し、手札とします。プレイングカードの内訳は、色カードが各4色で1~9の36枚と、ワイルドカードである「ロケットカード」が4枚の計40枚です。
次に、ミッションカードをそのミッションにおける必要数のみランダムで場に出し、「ロケットカードの4」を持っているプレイヤーが司令官となって、親から順番にミッションカードを選択していきます。同じミッションでも、数字や色の違いで難しさが大きく変わってきます。
各プレイヤーは自分の手札を確認しながら、ミッションカードを選んでいきましょう。ここで取ったミッションカードは、どれか一つでも達成出来ないとミッション失敗になってしまいます。なお、ミッションカードが人数より多い場合は、一人が2枚担当することもあります。
ミッションカードを配り終えたら、いよいよゲーム開始です。
④ゲームの進行
各プレイヤーは、手札から1枚ずつプレイングカードを出し、全プレイヤーがカードを出し終えたら「1トリック」が終了です。これを何トリックも繰り返します。
プレイングカードを出す際には以下の5つのルールがあります。なんとなく「ウノ」をイメージしてもらえれば分かりやすいでしょうか。
①最初のプレイヤーが出した色(スート)と同じ色のカードがあるならそれを出すこと。数字は大きくても小さくてもよい。
②最初のプレイヤーが出した色(スート)の中で、最も高い数字を出した人がそのトリックに勝利し、出たカード全てを手に入れること。
③手持ちに同じ色のカードがないなら他のカードを出しても良いが、そのトリックの勝者にはなれない。
④ロケットカードはどの色カードよりも強い。ロケットカードが複数枚出たら、数字が大きいほうが勝利。
⑤ミッションの最初のトリックは司令官プレイヤーからスタートする。2回目以降はトリックの勝者が次のトリックの開始プレイヤーとなる。
この5つのルールの下で、自分が持っている「ミッションカード」と同じ色・数字のプレイングカードを手に入れることで、受け持ったミッションカードはクリアとなり、ミッションカードを裏返せます。全プレイヤーが自分が担当するミッションカードを裏返せたら、そのミッションはクリアです!
さて、言葉だけ聞くと簡単そうにも聞こえますが・・・実際にプレイしてみると、そう簡単ではないことに気づくはずです。というのも、このゲームの舞台は宇宙空間。このゲームにおいては、「自分の手札について話すことができない」というルールがあるのです。
このルールは、たくさんの悲劇を引き起こします。
例えば、以下のような場合。
自分は「黄色の3」のカードを 取らなければならないが、黄色のカードは大きい数字が手札になく、しかも2枚しかない。この状態で、向かって左手の司令官プレイヤーが黄色のカードを出し始めてしまった・・・。
こうなると、ルール上自分も黄色カードを出さなくてはいけないので、仕方なく「黄色の2もしくは4」のカードを出すことになります。
こうなると、残りの手持ちの黄色カードは4のカードしかありませんので、次に黄色のカードが出たら、必ず黄色の4を出さなくてはなりません。仮に、他プレイヤーが自分のミッションである黄色の3をプレイしてくれたとしても、他プレイヤーが4よりも大きい黄色カードを出した場合は、黄色の4では勝つことはできず、ミッション失敗となってしまいます。
さて、こうした場合に備えて行える救済措置が一つあります。
それが、各プレイヤーが1ミッションにつき1回だけ行える「無線通信」です。
この無線通信を使うと、周りのプレイヤーに一枚だけプレイングカードを公開し、そのカードが手札の中でどんな立ち位置であるか、を示すことができます。
使用時は各トリックの開始前に使わなければいけませんが、タイミングは自由なので、ある程度カードが減ってきてから使うことも出来ます。使い方は以下の三種類です。
①カードの上部に置く=その色の中で、自分の持っている最大の数値のカードであることを示します。
②カードの真ん中に置く=その色の唯一のカードであることを示します。
③カードの下部に置く=その色の中で、自分の持っている最小の数値のカードであることを示します。
この通信を使うと、「このままではヤバいよ!」と他プレイヤーに伝えることができます。上記の例で言えば、
このように無線通信を使うことで、「俺は黄色の3を取りたいのに、黄色の4しか持っていないんだ!どうにかして俺に取らせてくれ!」というメッセージを送ることができます。
結果、周りのプレイヤーが弱めのカードを出してくれたおかげで、無事に黄色の3を取る事が出来ました。
ちなみに隕石の様なカードは「リマインダーカード」と言い、無線通信でカードを出した際に代わりに受け取ります。無線通信を使用中であることを他プレイヤーにアピールし、忘れないようにするためのカード・・・との事です。ぶっちゃけあんまり要らないような気も。
少し話がそれましたが、このあたりの意図の読み合いが、この「ザ・クルー」の醍醐味であり、このゲームが「協力型トリックテイキングゲーム」として絶妙なバランスで成り立っている部分だと思います。
この例では上手くいきましたが、無線通信の意図が上手く伝わるか伝わらないかはプレイヤー次第。意図が上手く伝わり、総じてなかなか難しいミッションをクリアできた時は、対戦型のゲームにはない全員での達成感があるんじゃないでしょうか。
⑤まとめ
2020ドイツ年間ゲーム大賞「エキスパート賞」を受賞しただけあり、ルールはそこまで難しくはありませんが、協力ゲームとしての面白さが存分に詰まっているゲームだと思います。
プレイヤー間での意図が上手に伝わるようになるまでは少し慣れが必要だと思うので、最初は簡単なミッションで慣らしながら、ゲームへの理解を深めていけば良いのではないでしょうか。
SF好きの方は「ログブック」のストーリーを追うだけでも楽しめると思うので、日本語版が正式発売されたら、是非遊んでみてください!
それでは、長くなったので今日はこのあたりで。
雲呑堂でした。
*1:細かいゲームを積み重ね、毎回勝者を決めるタイプのゲームの事を指します。代表的なのは「スカルキング」など。