雲呑を背にして  

~ボードゲームを徒然に~

「夜」を冠する最近のバンド「ヨルシカ」「ずとまよ」「YOASOBI」について、人気曲の紹介と音楽性の違いを考察。

こんにちは、雲呑堂です。

普段はボードゲームや映画の記事が多いですが、たまには趣向を変えて、

聞いている音楽について書いてみたいと思います。

 

皆さんは、「ヨルシカ」「ずっと真夜中でいいのに。」「YOASOBI」という音楽アーティストをご存知でしょうか。

 

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出典:YOASOBIオフィシャルサイト

この3組はいずれもインターネットに出自を持つバンドで、

「名前がなんか夜っぽい」「インターネット(ひいてはボーカロイド)に出自を持つ」「女性ボーカル」「アニメーションを用いたPV」等の共通点、かつ近い時期に活動を開始したことから、同じ文脈で語られていることも多いです。

 

つい一ヶ月ほど前にはYAHOO!ニュースに取り上げられるなど、世間の認知度も上がってきた感のある3組ですが、合わせて語られながらもこの3組、じつはけっこう音楽性が違います。また、この3組に限らず、「夜をモチーフにした」アーティストで、人気を獲得しているグループも、少しづつ増えてきているように感じます。

 

今回は、私自身の頭の整理も兼ねて、まずはこの3組の音楽アーティストについて、出自などを追いながら、私の独断と偏見ありきで音楽性の違い、これは外せない!と思う人気曲の紹介をしていきたいと思います。完全にファン目線の記事ですが、ご容赦ください!

 

news.yahoo.co.jp

 

諸注意

この記事は完全にわたくし、雲呑堂の主観と偏見で書かれています。雲呑堂は音楽素人なので、コード進行とかそのあたりの詳しい解説は他ブログさんにお任せしたいと思います。それでも良いという方は以下からどうぞ。

①ヨルシカ

ヨルシカは、コンポーザーのn-buna(ナブナ)さんとボーカルのsuis(スイ)さんの二人組で活動するアーティストです。結成は2017年、2019年にメジャーデビューとなっています。

yorushika.com

 

n-bunaさんは元々ボカロPとして活動しており、ニコニコ動画において、ボーカロイドのオリジナル曲「透明エレジー」「ウミユリ海底譚」「夜明けと蛍」などで人気を博していました。

当時から爽やかさと夏の終わりを感じさせるような音楽性で注目されていましたが、「ヨルシカ」として活動するようになってからも、その特徴は変わらないまま、名曲を生み出しています。

www.youtube.com

  

ヨルシカを語る上で外せないのは、物語性の強い歌詞でしょう。表に出せない心の叫びを描いたようなメッセージ性の強い曲(例:「だから僕は音楽を辞めた」)もありつつ、一方で日々を回想しながら歌うような、優しくて心に響く曲(例:「花に亡霊」)もあります。そこにsuisさんの情感のこもった歌い方と、生音に近いバンドサウンドが自然に合わさってくる。これがたいへん心地よいです。

 

www.youtube.com

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上記にリンクを張った「花と亡霊」は、最新の3rdアルバム「盗作」出典。アニメーション映画「泣きたい私は猫をかぶる」のテーマ曲にもなっています。

 

曲作りにはかなりこだわっており、お二人への過去のインタビュー記事等では、インスピレーションの為にスウェーデンまで訪れたことなどを語っています。すごい情熱です。

 

www.cinra.net

 

「夜」を冠するバンドなどと記事タイトルを付けましたが、私は「ヨルシカ」に対して青空や快晴、海沿い、昼下がり、といったイメージを持っています。夏も佳境に入ってきましたが、暑いながらも一筋の風が吹き抜けるようなヨルシカの曲は、この夏に聞くのにピッタリでしょう。

 

個人的には、メッセージ性の強い初期ヨルシカの代表曲「言って。」や「ヒッチコック」も外せませんが、2ndアルバム「エルマ」より「雨とカプチーノ」がお気に入り。アニメーションのPVも、ヨルシカの描く情景のイメージとすごくマッチしています。

 

www.youtube.com

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なお、ヨルシカの曲は過ぎた青春時代への特攻性能を持つので、そこだけ注意。

ストレートに歌詞が刺さってしまう時があるので、私の様な社会人の身で曲を聴いていると、思わずホロリと来てしまうことがあります。

 

 

②ずっと真夜中でいいのに。

ずっと真夜中でいいのに。は、作詞・作曲・ボーカルを担うACAね(アカネ)さんを中心としたアーティストです。通称は「ずとまよ」で、2018年6月に突如「秒針を噛む」という曲をYoutubeに投稿し、デビューしました。

2019年には、多くの人気バンドが出演する「FUJI ROCK FESTIVAL 19」や「COUNTDOWN JAPAN 19/20」に参加するなど、インターネット上に留まらず、現実世界での活動も広く行っています。

zutomayo.com

 

実は、ずとまよ、ひいてはACAねさんの出自は詳しくわかっていません。

デビュー曲となる「秒針を噛む」は、以下のリンクを見てもらえばわかるように、独特な世界観のアニメーションPV、1作目とは思えない曲のクオリティなど、非常に凝った作りなのですが、それ以前の情報が一切不明のため、いっそうミステリアス感を醸し出しています。

 

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2020年8月現在においても、ライブ等では顔出しこそしているものの、以前の音楽活動の有無やグループ活動の経緯などは未だに語られていません。このミステリアスさ、言い換えれば「非現実感」が、ある意味では「ずっと真夜中でいいのに。」の特徴と言えるでしょう。

 

この特徴は音楽性にも現れています。浮遊感がありつつも気持ちいいピアノの旋律、「脳裏上のクラッカー」「勘冴えて悔しいわ」に代表されるような特徴的でちょっと不思議な曲のタイトルおよび歌詞の数々、一つ目のキャラクターやハリネズミが登場するちょっとダークな雰囲気のアニメーションPVなど、表現が難しいのですが、ふわふわと掴みどころがないのに、強く印象に残ります。

 

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また、メロディラインがはっきりしており、とてもノリやすいのも特徴です。例えば上記「脳裏上のクラッカー」は、サビに至るまでにメロディが二転三転し、サビ後もさらにもう一度盛り上がるというてんこ盛りな曲。ACAねさんの伸びやかな高音域のボーカルに合わせて、思わず裏ノリのリズムを取りたくなってしまう魅力のある曲です。

 

また、最新アルバム「朗らかな皮膚とて不服」より、「お勉強しといてよ」はぜひおさえておきたい名曲。ずとまよを1から聞き始める方にも是非おすすめしたいです。昨今では見なくなったVHSに焦点を当てながら、レトロフューチャー感あふれるPV、早口でまくしたてる言葉遊びのような不思議な歌詞、跳ねるギター、バックで流れるノリノリのピアノなど、ずとまよの聴きどころが詰まっていると言っても過言ではありません。

 

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また、同アルバムに収録されている「MILABO」は、リズムに焦点を当てた曲。ダークさは控えめながらも、所々に挟まる「ウッ!」という男性ボーカルが気持ちいいです。(PVに出てくるアフロ男性の声なのでしょうか)こちらも名曲です。

 

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ミステリアスさは失わないながらも、多種多様なメロディ、ちょっぴりダークな世界観など、唯一無二のバンドであるずっと真夜中でいいのに。最新アルバムを経て、また一つ世界が広がったような感があります。今後の活動も楽しみです!

 

 

③YOASOBI

夜モチーフのバンドの最後に紹介するのは「YOASOBI(夜遊び)」です。コンポーザーはAyaseさん、ボーカルはikuraさんで、お二人とも顔出しして活動されています。

小説を音楽にするユニット」をうたっており、曲には原作小説があるのが特徴。活動を始めてから日は浅いですが、2019年11月に公開された第一弾楽曲「夜に駆ける」がたった1ヶ月で100万再生を突破するなど、今一番スピード感のあるアーティストかもしれません。

www.yoasobi-music.jp

 

コンポーザーであるAyaseさんは2018年年末頃からボーカロイドによる楽曲を開始し、セルフカバーした楽曲においても評価を得ています。私が知ったのも元々は、「幽霊東京」のセルフカバーでした。

そこに、もともと「幾田りら」さんとしてシンガーソングライターをしているボーカルのikuraさんが加わり、ユニットを組んだのが今のYOASOBIになります。

 

www.youtube.com

 

実は、YOASOBIとしての活動はまだ浅く、先日7月20日に第四弾楽曲「たぶん」がリリースされたばかり。4曲だけでここまで話題になるアーティストは中々いません。

 

さて、YOASOBIを初めて聴かれる方は、まずは第一弾の楽曲「夜に駆ける」をおすすめします。公開は2019年11月。YOASOBIを一躍メジャーに押し上げた「夜イメージ」の代表曲ともいえるでしょう。

 

www.youtube.com

 

「ヨルシカ」「ずとまよ」と比べると、生音というよりは打ち込み感が強く、ダンスミュージックの様な味わいがあります。4つ打ちのメロディに、ikuraさんの抑揚を抑えた歌い方がいかにも現代的です。Ayaseさんの楽曲はトラックメイカー気質といったらいいのか、1曲1曲で曲作りが全く変わるのが特徴で、コンセプトからして「小説を音楽にするユニット」ですから、アルバム単位での曲作りではない、新たな音楽の形を取り入れているともいえます。

 

実際、第二弾楽曲として公開された「あの夢をなぞって」は、非常にストレートな青春ソングとなっており、「夜に駆ける」のダンスミュージックとはかなり印象が異なります。ここではikuraさんの歌声は伸びやかで、ピアノやギターを主軸とした爽やかで気持ちいい楽曲となっています。おそらく原作小説のイメージ等から、こうした楽曲となっているのだと思いますが(未読ですみません)、私はAyaseさんのコンポーザーとしての底知れない実力を感じた気がしました。

 

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また、第三段の楽曲「ハルジオン」は「夜に駆ける」の正当進化ともいえるダンスミュージックに戻っており、このあたりのバランス感が非常に優れていると感じました。淡い色合いのPVも、なんとなく「夜に駆ける」を彷彿とさせます。

 

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ちなみに、第四弾楽曲の「たぶん」はリズム重視のバラードとなっています。こちらもYoutubeで公開されているので、気になった方はぜひ聞いてみてください。

 

総じて、YOASOBIはまだ活動歴は浅いけれども、底知れない実力を持ったアーティストであると感じます。これからも様々な表情を見せてくれるであろうYOASOBIに今後も期待です。

 

④まとめ

以上、「夜をモチーフにした」3組のアーティストの人気曲と音楽性について考察(というか感想)を書いてみました。音楽の事を文章で書くのは慣れない作業でしたが、既に知っているという人も、初めて聴くという人も、少しでも参考になれば幸いです。

 

私もこの記事を書くにあたって、改めてこの3組の曲を聴き直しましたが、新たな発見が沢山あって新鮮でした。言葉にすることで、自分の中ではっきりと違いが分かるようになったのも良かったな、と思います。

 

本当は時間があれば、yamaさんの「春を告げる」あたりもご紹介したかったのですが、あまりに記事が長くなりそうなので今回はやめておきます。こちらはどこかでまた別記事にしてみようかな。。。

 

それでは、長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。

雲呑堂でした。

 

朗らかな皮膚とて不服(通常盤)

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