雲呑を背にして  

~ボードゲームを徒然に~

傑作ゲーム「Before Youe Eyes」から学ぶテーマとシステムの繋がり

 

 

こんにちは、雲呑堂です。

 

以前もちらっと書きましたが、今年は新作を出したいなと思っています。
カラーズを販売した直後は「次回ゲムマに出品じゃあ~!!」くらいのテンションでしたが、去年はスケジュール等々難しく、1本も作ることができませんでした・・・
今年こそはという思いです。


ところで、新作ボドゲを作る時に苦心するのが、そう「システムとテーマ」です。

システムと一口に言っても、拡大再生産にするか、ブラフか、正体隠匿か、ドラフトか・・・・。
テーマは何にしようか。既存の職業にしようか、SFにしようか、クトゥルフにしようか・・・。キリがありません。

 

しかも、ここを乗り越た先に、最大の関門である「システムとテーマ性との相性」が待ち構えています。

相性の良い組み合わせであれば、強力な没入感をプレイヤーに与えることができる一方、相性が悪いと乗り切れない、イマイチなゲームと思われてしまいます。これは電源・非電源問わずゲーム制作における高い壁の一つではないかと思います。

 

そして、先日プレイした「Before Your Eyes」というPCゲームは、テーマとシステムの組み合わせが素晴らしかったゲームでした。

 

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https://www.beforeyoureyesgame.com/#aboutより)

紹介ページはこちら(現在セール中!!)↓

store.steampowered.com

 

 

ゲーム概要

『Before Your Eyes』は魂が死後の世界へと旅するストーリーが語られるファーストパーソンのナラティブアドベンチャーゲーム。まばたきを使った、新たな革新的なインタラクション形式です。

ストーリーは、主人公の死後、さまよう魂を死後の世界へといざなう謎めいたフェリーマンの船に乗ったところから始まります。無事に死後の世界に行くためには、フェリーマンに人生のストーリーを伝えなければなりません。そしてそのためにフェリーマンは、あなたを人生の大事な瞬間へ送り、記憶を取り戻させます。

(steamのストアページから抜粋)

ジャンル:アドベンチャー
クリア目安90分

 

このゲームの大きな特徴として挙げられるのが「まばたき」によってゲームが進む点です。

カメラを通してプレイヤーのまばたきを検出し、それによってストーリーが進行するのです。「このシーンもう少し観たいな~」とか「この会話重要そうだな」と思っても、まばたきすると、問答無用で次のシーンに飛んでしまいます。
個人的には画期的であるものの、不便を強いるシステムだと感じていました。しかし、後半になるとこのシステムが2つの重要な意味を持っていたことに気づきます。

 

まばたきシステムのもつ意味

①人生における時間の流れ

このゲームは「走馬灯」を体験するゲームです。プレイヤーは主人公が生き抜いた、貴重な人生の瞬間、瞬間を操作していきます。
もし、これをコントローラーで操作したらどうでしょうか。プレイヤーは好きなだけ会話を聞き、部屋中を見まわし、好きな絵を描いてから×ボタンを押すでしょう。
一方、まばたきは生理現象です。多少は我慢できても、いつかはしなければなりません。自分の意志とは無関係にまばたきし、その結果、時間が次々と進んでしまいます。人生の体験という意味では、どちらがよりリアリティがあるでしょうか?
私としては、会話を十分に聞けなかったとしても、探索が十分でなかったとしても問答無用で進んでいく後者の方に、リアリティを感じます。

 

②主人公とプレイヤーの一体感を生み出す

通常、ゲームにおいて我々プレイヤーと操作キャラクターが同じ動作をすることはありません。

鉄騎の専用コントローラーを持っているようなケースを除けば、ゲーム中で銃を撃ったとしても、プレイヤーはR2ボタンを押すだけです。
しかし、「Before Your Eyes」においては、主人公が目を閉じるシーンにおいて、プレイヤーも目を閉じることが要求されます。エンディング間近の重要なシーンでこの操作を要求されるのですが、この瞬間、プレイヤーは非常に高い没入感を得ることができます。

 

感想

ゲーム本編は90分もあれば終わるボリュームですし、少し喋るとネタバレになるので、ここではシステムについての感想のみにします。

「Before Your Eyes」における「まばたきシステム」は単に革新的なだけでなく、ストーリーの根幹とプレイヤーを橋渡しする見事なシステムだったと思います。
このゲームの魅力は「物語:8 システム:2」くらいだと思っていますが、だからこそ物語を存分に味合わせてくれた「まばたきシステム」の秀逸さが光ります。
逆に「物語:3 システム:7」くらいのゲームがあったら、システムの邪魔をしない、シンプルなストーリーにすると、プレイヤーにしっかりと魅力が伝わる気がします。


「このストーリーを作りたい!」とか、「このシステム面白いだろ!」と思ったら、それらを引き立たせるシステムやテーマを設定するのが良いのかなと思います。「プレイヤーの没入感」これが鍵になりそう。

 

 

感想を踏まえてですが・・・

ボードゲームにおいては大抵、物語性よりメカニズムが大きなウェイトを占めているので、やはり最初にシステムを考えてから、それに合うテーマを考える方が良いのかな?と思いました。そうなると次は「面白いシステムを作るには?」「ボードゲームにおける没入感とは?」という疑問が。。。
またどこかで考察してみたいと思います。

ちなみに「Before Your Eyes」は間違いなく傑作でした。是非遊んでみてください!

 

以上、雲呑堂でした。