雲呑を背にして  

~ボードゲームを徒然に~

森の英雄となって最奥のボスを倒せ!協力型RPG風ゲーム「BEASTORY」をプレイ&レビュー!

こんにちは、雲呑堂です。

 

先日やっと、ゲームマーケット秋2020で購入したゲームを遊ぶ機会に恵まれました!

 

当日は複数人でボードゲームを持ち寄り遊んだのですが、その中でも私が特に遊びたいと思っていたゲームを遊ぶことが出来ましたので、今日はプレイした感想なども交えながらゲームをご紹介していきたいと思います!

 

「BEASTORY」

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gamemarket.jp

 

プレイ人数:1人~6人

対象年齢:12歳以上

プレイ時間:約45~60分

ゲームデザイン:HOUROU

発売年:2020

 

なお、ゲーム作者のHOUROU様(@HOUROUtoHOUROU)には当ブログへの掲載にあたってご了解をいただいております。ありがとうございます!

 

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公式PV映像はこちら↓

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①ゲーム概要

 

舞台はエメラルドの森です。

ある日、南から赤い煙が上がります。

それはこの世界では、救難信号と英雄の招集を意味しています。

英雄たちを操り、エメラルドの森を探索し、赤い煙の元へ辿り着きましょう。

そして、そこで待つ災厄の源に打ち勝つことがゲームの勝利条件です。

ゲームマーケット公式ホームページ「BEASTORY」より)

 

「BEASTORY」は、「協力型RPG風ゲーム」というジャンルの表す通り、各プレイヤーが動物がモデルとなった英雄(=ビースト)たちを操りながら、協力して災厄の根源であるボスを倒すことが目標のゲームです。

 

敗北条件は、探索や戦闘の中で全ビーストの体力が0となり全員が「ソウル」状態になってしまうこと。(ソウル状態については後述)

プレイヤー達は体力に気を配りながらエメラルドの森を探索しつつ、戦闘イベントを経て得た経験値からスキルを覚え、5日目の後に控えるボス戦に備えていきます。このあたりがかなりRPGっぽくて、RPG好きの私の心に刺さりました。

 

ビーストは全6種おり、それぞれが個性的な能力を持っています。1プレイヤーで1匹のビーストを操りながら、仲間と協力し、戦闘やイベントを乗り越えていきましょう!

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個性的なビースト達。見ただけで「こんなキャラかな?」というのが分かるデザイン。

 

<ゲームルール解説>

②ゲームの開始~ビースト選択~

 

まず、ゲームの開始前に1プレイヤーにつき1種類のビーストカードを選びましょう。 選択したビーストがプレイヤーの分身になります。

 

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ビースト達は、緊急事態に集められた森の英雄です。見た目にもわかる通り、それぞれ得意分野や戦い方が異なっており、まず誰を選ぶか、という楽しみがあります。

 

<各ビーストざっくり紹介>

 カーマイン:軽戦士。攻撃しながら隊列を移動するなど、場に合わせた柔軟な対応ができる。

ランプ:黒魔術師。発動に時間はかかるが広範囲に強力な魔法が使える。半面撃たれ弱い。

テールベルトパラディン。仲間を守りながら攻撃する術を持つ。体力も高く、前線で戦うと輝く。

ウォード:シーフ。場をコントロールしながら戦う。全体攻撃スキル「無刃像」は非常に強力。

フロスティ:白魔術師。仲間の回復や支援スキルを覚える貴重なビースト。撃たれ弱さはランプと同様。

クロム:重戦士。強力な反撃技が使えるが、自身へのダメージを前提とした立ち回りが必要。

 

各ビーストには、使用可能なスキルカードが11枚あり、キャラクターによって効果が異なっています。各ビーストの得意分野を良く把握しながら、上手くパーティを組み合わせて下さい。他のビーストと連携して初めて輝くスキルも数多くあります。(もちろん、ソロで強いビーストもいますが)

 

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カーマインのスキルの例。キャラによって特色が異なる。

どのビーストも、スキルカードの初期枚数は3枚です。上のカーマインのスキル例でいうと、「バナナ斬り」が消費経験値0=初期スキルにあたります。一方、「猿知恵」は消費経験値3で、後から入手するスキルですね。スキルの獲得については、後ほどご説明します。

初期スキルはそのビーストの動きを象徴するものが多いので、ビースト選びに悩んだら初期スキルを見て選ぶのも良いかもしれませんね。

 

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ウォードのスキル。小回りが利いて使いやすいものが多い。

ビーストを選び終えたら、「バトルシート」にビーストカードを載せましょう。色つきで書かれているのがビースト側、灰色で書かれているのがマシン(敵)側になります。

下の写真の例ではすべてのビーストを載せてみましたが、3人プレイの時は選択した3匹のビーストまでで構いません。配置時は現在のビーストの体力が見えるように置きます。

 

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少し見え辛いですが、左上の「S」と書かれたビーストが最初に行動します。

行動順も大事です。

 

ビーストカードを配置したら、各プレイヤーに各ビーストのスキルカードを全て渡してあげて下さい。その後、共通シートである「ビーストシート」を配ります。これはバトル時に、スキル使用待機時間を表すために使います。(作中では「ウェイトレベル」と表記)配り終えたら、ゲームを開始しましょう。

 

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ビーストシート。戦闘で使用したスキルはここに置いていく。

 

②探索フェイズとイベントフェイズ

~チャンスカード・イベントカードの処理~

 

「BEASTORY」は、大まかに言うと「探索フェイズ」「イベントフェイズ」「スタンバイフェイズ」「(5日経過時)ボスフェイズ」という形で進行していきます。

 

探索フェイズでは、イベントシートに配置した全24枚の山札(=イベントカード)から、サイコロを振って出た目の分だけカードをめくります。この山札の1枚が1時間に相当し、24枚=24時間経つと1日が終了、という流れです。

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イベントシートに山札を配置した例。

さりげなく「進むべき未知」「過ぎ去りし道」で韻を踏んでいる。

ダイスで出たカードはイベントフェイズで処理をします。イベントカードは3種類あり、種類によって、その後の行動が変わってきます。

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左からチャンスカード、アクションカード、バトルカード。

<ざっくり紹介>

チャンスカード(青色):引けると得をするカードが該当します。敵へ与えるダメージの増や経験値によらないスキルの習得など。

アクションカード(黄色):サイコロを振り、得をしたり損をしたりするカードが該当します。回避する選択肢もありますが、代わりに時間が経過します。(=山札の減)

バトルカード(赤色):敵キャラクターである「マシン」と戦闘します。このゲームの核となる部分。戦闘方法は後述します。

 

チャンスカードアクションカードは、カードに記載の指示に従って処理を行えばそれで終了です。そのままスタンバイフェイズ(いわゆるスキル編成の時間)に移ります。チャンスカードの一部には、後々の戦闘に関わってくる効果のあるものもあるので、こうしたカードは分かりやすい場所に一時的に出しておいても良いかもしれません。

バトルカードが出た場合の処理は、以下の3.バトルフェイズで解説します。 

 

なお、イベントカードの処理に際して、複数人でプレイする際は、チームのリーダーとして「ビーコン」を設定します。「ビーコン」とは、ダイスを振る、イベントカードの選択肢を選ぶ、戦闘するか逃げるかを選ぶ、といった権限のあるプレイヤーの事です。「ビーコン」となったプレイヤーは、周囲のプレイヤーの状況を見ながら、ビーストがどういった状況にあるかを考えて選択肢を判断しましょう。場合によっては軽率な判断が命取りになる場合もあります。(いけるいける!からのサイコロを外して思わぬ大ダメージ等)

 

ビーコンは、イベントカードの処理が終わり、スタンバイフェイズのタイミングで次のプレイヤーに交替していきます。

 

③イベントフェイズ

~バトルカードの処理~

 

イベントカードで「バトルカード」を引いた場合は、戦闘となり、各ビーストと敵キャラクターである「マシン」が戦うことになります。個人的には、この部分がこのゲームのキモであると感じました。やはりRPGですから、敵キャラクターと戦わないことには始まりませんよね。

 

コンポーネントも多く処理が少し複雑なので、手っ取り早く知りたい!という方や、初めてプレイされる方は、公式で挙げて下さっている紹介動画を視聴するのがオススメです。配置のイメージなどがかなり掴みやすいのではないでしょうか。

www.youtube.com

 

重複する部分もありますが、このブログ内でも、写真付きでコンポーネントを紹介しながら、ざっくりバトルについて書いてみます。

 

1.マシンカードを配置

 

「バトルカード」が出たら、その指示に従ってマシンカードを選び、「バトルシート」の灰色側(マシン側)に置いていきます。以下のようなイメージです。

 

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ビーストが3匹なので3体のマシンカードを配置しています。

 

2.スキルの使用

 

行動順が最も早いビーストからスキルを使用します。左上の「S」マークのある場所に配置されたビーストが最も早く行動し、そこから線でつながるビーストが次に行動します。(画像ではテールベルトランプウォードの順)

 

スキルがダメージを与える系のカードである場合は、サイコロを振りましょう。

結果により、成功・失敗の判定を行います。

 

6・・・大成功。与えるダメージが2倍になります。

2~5・・・成功。そのままダメージを与えます。

1・・・失敗。ダメージは与えられません。

 

使用したスキルは「ウェイト」状態になります。分かり易く言うと、次に使うまでのターン制限です。スキルカードに記載された「ウェイトレベル」に従って、ビーストシートにスキルカードを配置します。

 

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ウェイトレベルは、同じバトルの中で次に自分にターンが回ってきた時に、1ずつ減少します。強力なスキルのほど、ウェイトレベルが高いことが多いです。

 

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「ウェイトレベル」が2であればこのように配置します。

 

3.マシンの反撃

 

スキルを使用した際、左下に反撃マークがある場合は、ランダムに反撃カードを1枚めくりマシンの反撃を行います。

 

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上段がマシンカード、下段が反撃カードです。

 

反撃はマシンカードがどれだけいても1回のみですが、攻撃範囲が「前線」だったりと範囲攻撃をしてくることが多いので注意。また、攻撃でマシンを破壊したときは反撃を受けずに、ボーナスとして反撃カードを1枚めくり、そのバトル中は取り除くことができます。

「特殊オペレーション」とあるのは敵マシンの種類によって異なる行動で、「マシンシート」を参照して攻撃の種類を確認します。

 

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ビーストのターンが全員分終了した際も、マシンのターンとして反撃カードを1枚めくります。この場合の処理は上記と同様です。

 

体力を0にしたマシンはシートから取り除き、相手のマシンが全て取り除かれたらバトル勝利となります。 

 

4.体力が0になってしまった場合

 

バトルやアクションカード等の効果でビーストの体力が0になってしまった場合、ビーストカードを裏返し、「ソウル」状態となります。この状態では経験値を得ることができず、スキルカードを使うこともできません。また通常の方法では回復できないので、フロスティの一部のスキルを使うか、限られたチャンスカードにて復活を待つことになります。

 

ソウルと言えども英雄の魂。ビーストごとに異なる「ソウルスキル」によって、戦闘を手助けすることができますが、「ソウルスキル」の発動条件はサイコロで「6」を出すこと。基本的には期待せず、発動したらラッキー、くらいに考えておきましょう。

 

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度重なる不運によりランプ君がソウル化した例。こんなに早いなんて聞いてないぞ!

 

バトルが終了した際は、チャンスカードアクションカードの処理が終わった時と同じく、スタンバイフェイズに移ります。

 

④スタンバイフェイズ

 

イベントカードの処理が終わったら、このスタンバイフェイズに移ります。

スキルの習得・編成や、主な体力の回復方法である「キャンプ」はここで行います。

複数人プレイの場合は、ビーコンの移動もここで行います。

 

<スキルの習得・編成>

スキルは、戦闘等で得た経験値チップを消費して、新たに獲得することができます。スキルカードの手持ちは最大5枚で、後は入れ替え制です。

スキルを取得する順番に制限はありません。強力なスキルほど必要な経験値は多いですが、序盤から強力なスキルを狙って経験値を貯めていくのも一興ですね。

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経験値チップとサイコロ。チップは紙ではなく、樹脂製っぽい感じで強度があります。

 

<キャンプ>

残りのイベントカードを全て捨て札にする(=強制的に翌日へ行く)ことで、キャンプを行うことができます。キャンプを行うと、捨て札にしたカードの枚数分だけ、ビーストの体力を回復させることができます。

パーティにフロスティがいない場合は、おそらく回復手段をキャンプに頼ることになるので、タイミングを上手く見計らいましょう。サイコロの出目によってはキャンプをするはずだったのに満身創痍で次の日を迎えてしまった、なんてことも起こり得ます。

 

⑤ボスフェイズ

 

以上、「探索フェイズ」「イベントフェイズ」「スタンバイフェイズ」を繰り返し、5日目が経過時したタイミングで、いよいよボスフェイズとなります

 

ボス戦の詳細な説明はここでは伏せますが、強制戦闘である事以外は、基本的に「バトルフェイズ」でお伝えした方法と同じです。5日間の探索でしっかりとビーストを育て、連携を駆使しながら、異変の元凶である「レッドクイーン」をどうにか倒し切ってください。協力して倒せたときの達成感はなかなかのものですよ!

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ラスボスというだけあり相当な体力と厄介な特殊オペレーションを持つ

 

⑥まとめ・感想

 

以上、ここまでルールの説明をしてきましたが、ゲームの感想についても簡単に。

 

「BEASTORY」は協力型RPG風ゲーム、というだけあり、かなり成長要素を感じられるゲームになっているなあ、と感じました。戦闘だけでなくアクションカードや、日数の経過でも経験値が手に入るので、最初は遠いように思えたスキルも、比較的早期に手に入ったりして、だんだんとやれることが増えていくのが楽しいです。初期の頃は苦労していた敵をあっさり倒せるようになるのも、爽快感がありますね。

 

何より各ビーストにスキルが11枚計66枚のカードがあるというのは、コンポーネントの中身を初めてみた時に驚いた部分です。これだけのカードがあると、必然的にビースト同士の連携が出てきますし、使うビーストは毎回変わるので、プレイの度に試行錯誤しながら進める楽しみもあります。

サイコロ要素により連携が必ずしもうまくいかない事もある、というのもまた面白いところ。後半はどうしても強い連携やスキルに頼りがちになってしまうので、ランダム要素が入ることで毎回ドキドキすることができますね。(事故ってビーストが倒れるのもそれはそれで一興)

 

バトルに関しては比較的シビアなバランスで、体力管理が割と重要かな、と感じます。

特に体力が低いフロスティランプは運が悪いと立て続けに攻撃を食らったり、アクションカードでダメージを受けたりして、早々に瀕死に陥る事もあります。引き際を見極める、というチキンレース的な楽しみがある一方で、見誤ってソウル化するとあまりできることがないので、少し寂しく思ったり。この点で、引き際が分からない初見プレイは少し難易度高めかもしれません。

とはいえビーストを変えることで周回プレイの楽しみがあるゲームなので、1回クリア・敗北したからと言って終わりじゃないのが「BEASTORY」の面白いところ。ぜひ何度もプレイして、最強のコンボ・連携を探してみてください。

 

あとは、拡張がしやすいタイプのゲームだと思うので、敵マシンやイベントカードの種類がもっと増えたりしたら勝手ながらすごく喜びます。(小声)

 

以上、長くなってしまいましたが、「BEASTORY」とても面白いゲームですので、是非プレイしてみてください!それでは、今日はこのあたりで。

 

雲吞堂でした。